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Ableton Live 10の変更点まとめ


Ableton Live 10は期待を裏切らなかった。新しい機能も新しいモジュールも使いやすく、ユニークで、パワフルで、楽しい。Liveユーザー、Live検討中の人、それから自分自身のために、Live 10の変更点を細かなところまで一通りまとめてみた。

主要な新機能

・トラックグループの中にトラックグループを作成

グループの中のグループの中にグループを作成…と階層化は無制限。Abletonユーザーが長年待ち望んでいた機能。

・Capture

MIDIキーボードなどからの信号を常時記録しており、ボタン一つで呼び出し可能。

・マルチクリップ編集

複数のクリップを選択すると、ひとつのピアノロールの中で同時編集できる。なおこれに合わせ、ピアノロール内のノートがクリップと同じ色で表示されるようになった。

・ブラウザーに色分け機能追加

ブラウザーのコンテンツに種類問わず(フォルダにも)最大7色の色を付けてグループ分けできる。グループには好きな名前がつけられる。ひとつのコンテンツに複数の色を付けることもできるがAND検索的な使い方はできない。例えば赤が「お気に入り」、黄色が「キックドラム」だとすると、「お気に入りのキックドラム」だけを表示させるような使い方はできない。

・Pushに新レイアウト追加

上半分がステップシーケンサー、下半分がクロマチックキーボードの新モード。「Note」ボタンで「従来のキーボード→従来のステップシーケンサー→新モード」と切替可能。下半分で音を選び、上半分でステップ入力。慣れたら使いやすい、かもしれない。

・スプリットパン機能

ステレオ信号の左右を別々にパンニングできる。通常のパンと右クリックメニューで切り替え。

新モジュール

・Wavetable(Suiteのみ)

文字通り、複雑な音作りが可能なウェーブテーブル型シンセサイザー。難解になりがちなウェーブテーブル式のシンセサイザーをできる限りシンプルにした感じ。ウェーブテーブルオシレーターそのものよりも、オシレーターFXやユニークなユニゾン機能の方が面白いかもしれない。

・Echo(Suiteのみ)

新型のディレイ+リバーブで、Mid/Sideで別々のディレイタイムを設定したりできる。100%を超えるフィードバックも可能だけど過大信号に注意!と思いきやソフトクリッパー搭載なので一定のボリューム以上は勝手にいい感じで歪んでいく。スピーカーへのダメージの心配などは不要。ダッキング機能まで搭載。この記事いらなくなった笑

・Drum Buss

歪み+ダイナミクス+トランジェントシェイピング+ベースエンハンサーで、細いドラムもパワフルに。ベースエンハンサーは特定のノートにチューニング可能。設定内容はかなり簡略化されているので、細かく追い込んだりクレイジーな設定にしたりすることはできないが、必要なプロセッシングは一通りできるようになっているんではなかろうか。

・Pedal(Suiteのみ)

シンプルなオーバードライブ/ディストーション/ファズで、3バンドEQと低音ブーストスイッチ付き。

・Shaper(Suiteのみ・Max for Liveデバイス)

LFOの自由度を高めた強化版のようなデバイス。オートメーション可能なあらゆるパラメーターに使える。最大8つのパラメーターを同時にモジュレート可能。他のトラックでもOK。ちなみにShaperの各パラメーターもオートメーション可能なので、ShaperでShaperをモジュレーションできる。

・Surround Panner(Suiteのみ・Max for Liveデバイス)

サラウンドでのパンニングを可能にするプラグイン。拡張パックとしての提供。ただ5.1chなどの多チャンネルフォーマットでオーディオをエクスポートできるわけではないので、サラウンド対応のオーディオ編集ソフトは別に必要だったりする。今のところ、サラウンドはあくまでおまけ機能と考えたほうがよさそう。

モジュールのアップデート

・Utility

-inf(完全無音)も可能に。この記事もいらなくなったなあ。指定した周波数以下の音をモノラルにする超絶便利なBass Monoスイッチを搭載。

・EQ Eight

10Hzまで操作可能に。なお10Hzは人間が音として認識できる範囲を超えているのでむやみにブーストしないように。

ドラムラック

ミキサー画面に「Audio to」メニューが追加され、ドラムラック内のリターントラック(ミキサー画面の最下部を上にドラッグすると現れる)へルーティング可能に。ハイハットにまとめて同じエフェクトをかける、といった処理がドラムラック内だけでできるようになった。

・LFO(Suiteのみ・Max for Liveデバイス)

オートメーション可能なあらゆるパラメーターに使えるLFO。一度に設定できるパラメーター数が8つになった。Shaperほどの自由度がいらないときや普通にサイン波を使いたいときはこちらを使う。

新拡張パック

※Suiteの新パックは約16GB。全パックで70GB以上になる。

・Drum Booth(Suiteのみ)

残響音がほとんど入っていないドライな生ドラムサンプルライブラリー。容量2.3GB。

・Electric Keyboards(Suiteのみ)

エレクトリックピアノのFender Rhodes Suitcase、Wurlitzer A-200、ハモンドオルガンのHammond C3のマルチサンプリングライブラリー。容量は怒涛の6.9GB。

・Synth Essentials(Suiteのみ)

シンセサイザープリセット集。775MB。

・Build and Drop(Suiteのみ)

EDM・ビッグルーム系サウンドライブラリ。870MB。

・Glitch and Wash(Suiteのみ)

アンビエント・インダストリアル系サウンドライブラリ。1.3GB。

・Drive and Glow(Suiteのみ)

インディーダンス・ニューディスコ系サウンドライブラリ。942MB。

・Punch and Tilt(Suiteのみ)

テクノ・エレクトロニカ系サウンドライブラリ。627MB。

・Skitter and Step

グリッチホップ・トラップ系サウンドライブラリ。820MB。

・Drum Essentials

アナログからデジタルまで様々なドラムキットを収録したライブラリ。330MB。

・Chop and Swing

サンプリングしてスライスしたような音を集めたライブラリ。986MB。

細かな機能強化・仕様変更

<オートメーション編集機能の強化>

・オートメーションモードが追加され、「A」で全トラックのオートメーション表示・非表示を一括で切り替えられる。「フェードを表示」コマンドは廃止。オートメーション非表示時にはフェードが常に表示される仕様になった。Live内のヘルプの記述が微妙に間違っているようなので注意。

・ブレークポイントがグリッドに吸着するようになった。Alt+ドラッグでグリッドを無視して移動。Shift+ドラッグで水平移動。

・オートメーション上をマウスオーバーすると数値がポップアップで表示される。

・オートメーションレーン内にもクリップ内容が表示されるようになった。

<アレンジメントビューでの仕様変更>

・Zキーで選択範囲をズーム。Ctrl+スクロールでカーソル中心にズーム。

・右クリック→「すべてのトラックを表示」で全トラック最小化。

・Shift+スクロールで水平方向にスクロール。

・左右矢印キーで選択クリップ移動。Shift+Ctrl+ドラッグでクリップ内容をスライド。Shift+オーディオクリップの端をドラッグでストレッチ。

・クリップの下半分をドラッグで時間範囲選択、上半分をドラッグでクリップ移動、とクリップの上半分と下半分で挙動が変わった。

・クリップの一部を選択して「0」キーで一部分だけ無効化/有効化、「R」キーで反転が可能になった。なおこのとき自動でクリップが分割される。

・MIDIトラックの空所をダブルクリックするだけで新規クリップ作成

・Ctrl+Lでアレンジメントのループ再生をON/OFF

・オーディオファイルやMIDIファイルを「作成」メニューからインポート

・「ファイルとデバイスをここへドロップします」エリアにトラックからクリップをドラッグすると、元のトラックのデバイスが丸ごと複製されたトラックができる。(セッションビューでも同様)

・右クリックから「トラック色をクリップに割り当てる」ことが可能になった。実行したトラックのクリップがすべてトラックと同じ色になる。

<保存機能の強化>

・編集履歴が保存され、前回終了時の「元に戻す」コマンドがそのまま使えるようになった。

・プロジェクトフォルダ内にバージョン履歴が自動保存され、以前のバージョンにアクセスできるようになった。

・フリーズや結合などで生成されるオーディオファイルにタイムスタンプが付加されるようになった。

・オーディオエクスポートでMP3とWAVをそれぞれ出力できるようになった。

・Windows 10ではジャンプリストに対応、「最近使ったもの」から直接プロジェクトを開ける

<ブラウザー機能の強化>

前述の色分け機能追加以外にも地味に機能が強化されている。

・「Pack」メニューからインストール済み拡張パックや未インストールの使用可能な拡張パックの一覧が表示でき、ここからプリセットやサンプルが利用できるのはもちろん、インストール/アンインストールや場所の移動も可能になった。

・「Current Project」メニューが追加され、ここから現在のプロジェクトで生成されたオーディオファイルなどにアクセスできるようになった。

・プロジェクトをブラウザーで開いたとき、トラック一覧にグループが加わった。グループ丸ごと現在のプロジェクトに挿入できるようになった。

<Push関連の強化>

前述の新レイアウト以外にもいろいろと機能が強化されているが、(僕のような)Push 1ユーザーへの恩恵はあまり多くない。

・LiveをReWireスレーブ動作させているときにもPushが利用可能になった

・NoteモードのレイアウトやRepeat設定がトラックごとに記録されるようになった

・16パッドのドラムモード使用時、Push 1の「Note」かPush 2の「Layout」を押し続けると、一時的にベロシティモードに切り替わる

・64パッドのドラムモード使用時は、Push 1の「Note」かPush 2の「Layout」を押し続けると、ループ長コントロールを表示する。ステップシーケンサー+32パッドキーボード使用時でも、同じ操作でループ長コントロール表示。常に表示させたい場合は「Shift」を押しながら「Note/Layout」を押す。もう一度「Note/Layout」を押すと表示が解除される。

・「Delete」を押しながらループ長コントロールパッドを押すと、押したページの内容がクリアされる。「Duplicate」を押しながらループ長コントロールパッドを押すと、押したページの内容がコピーされ、別のパッドを押すことでペーストされる

↓以下Push 2のみ

・Push 2のクリップモードでクリップ内のMIDIノートがLCDに表示されるようになった。

・Push 2のLCDディスプレイがCompressorの「Gain Reduction」表示と「Sidechain」操作に対応。またEQ Eightがグラフィカル表示に対応。もちろんスペクトルアナライザー付き。さらにはOperatorのエンベロープまでグラフィック表示。

・Push 2がラック内のデバイス表示→折りたたみ・展開に対応

・Push 2の「Convert」ボタンだけでオーディオ→MIDI変換が可能に

<Max for Liveの強化>

Liveの中に完全に組み込まれ、Max for Liveデバイス挿入が高速化。最初のデバイスを挿入するときに現れていた「Max for Live」ポップアップも省略。

・MIDIシステムエクスクルーシブメッセージ(SysEx)対応

・オーディオのマルチアウトに対応

<その他の機能の強化>

・ノブやスライダーをダブルクリックするとデフォルト値へ戻るようになった

・ハードウェアインプット/アウトプットの名前変更

・ノート途中からクリップの再生が始まるとき、そのノートが再生される。オプションの「MIDIノートを追跡」メニューで設定を変更可能。

・メトロノームのプルダウンメニューが強化され、メトロノーム音やリズムを設定できるようになった。また「録音中のみ有効」の設定も追加された。

・「M」キーでコンピューターMIDIキーボードを有効化/無効化

・環境設定で「ペンタブレットモード」が利用可能になった

・「ディスプレイをズーム」時の表示が強化された。またWindows 10ではHiDPIにも対応した

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