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ここが素晴らしくてここが惜しい:スターウォーズEp.7 フォースの覚醒 (ネタバレ)

完璧な映画なんてない。だから毎年新作映画が楽しめるわけだし、不完全さが僕達の想像力を刺激する。

「スターウォーズ エピソード7 フォースの覚醒」は絶賛する人も多いが、やはりアンチもそこそこいる。僕はこの作品が大好きなので通算5回ほど見たのだけど、素晴らしいところも惜しいところもある。いや、大体素晴らしいが、ちょいちょい惜しいところがある。

以下ネタバレ含む

素晴らしいところ

素晴らしいところはたくさんある。いろいろなところでいろいろ語られているので、ここでは僕の好きなシーンを1点だけ挙げる。このシーンだ。

レジスタンスのエースパイロット、ポー=ダメロンが専用仕様のX-ウィングで10機のタイ・ファイターを次々と撃墜するシーン。このEP7を含め、スターウォーズの各作品には様々な素晴らしい空中戦のシーンが登場する。その中でもこのシーンは最も地味な空中戦だ。

このシーンのカメラは基本的に地面からの視点になっている。瓦礫の山になったマズの酒場で、フィンの隣にカメラは置かれ、ポー=ダメロン仕様の黒いXウィングが空の向こうに小さく見え、ウネウネ動き回りながらタイファイターを次々と撃ち落とす。

スター・ウォーズにおける空中戦カメラワークの基本は戦闘機に寄り添うことだ。EP4のヤヴィンの戦いでも、EP7終盤のスターキラーベース攻略戦を見ると、カメラがまるで戦闘機と一緒に飛び回り、放たれるレーザーやすれ違う敵機を至近距離で映し出し、撃ち落とした、あるいは撃ち落とされた瞬間の散り際を劇的に描き、観客を空中戦のど真ん中に引きずり込む。

それに対しこの空中戦では、動画中ほどまで、フィンが走り出すまでカメラの立ち位置はほとんど変わらず、はるか遠く、煙の向こうにレーザーの閃光が写り、ともすればそこにいる誰かがYoutubeに上げた動画のような印象すら受ける。

このシーンの特筆すべき所は、まさにその「そこにいる誰か」感であり、ある種の「Youtube」感であり、それが観客に「そこで現実に起きている」ような錯覚を与える。当事者としての臨場感ではなく、傍観者としての臨場感と言ってもいい。

この傍観者としての臨場感は、「ポケットの中の戦争」のアルの視点に近いものがあるかもしれない。観客を映画に引き込むのではなく、映画を観客に方に寄せていくというか、今自分の立っているところがどこかで映画の世界につながっているというか、なんだかそんな感じがする。

惜しいところ

・フィンのキャラクター

フィンはもともとストームトルーパーFN-2187だった。作戦中に洗脳状態から目覚め、レジスタンスの捕虜ポー=ダメロンを脱走させて以降、なんやかんやレジスタンス側に協力して戦った人物。

ファーストオーダーのストームトルーパーは生まれてすぐ「徴兵」(拉致)され、訓練を開始する。彼らは強力な洗脳状態の中で、「たったひとつのことをするためだけに育てられ」てきた冷酷非情な兵士だ。

フィンは最初から超良い奴だ。「正しいことだからだ」とか言ってポーを助け出し、そのポーにフィンという名前をもらうと「気に入った!」と喜んで受け入れ、キャノンの撃破に成功するとポーと一緒に叫ぶ。その後もジャクーで暴漢に襲われるレイを見て(レイはすぐに自分で撃退するが)すぐさま助けに入ろうとし、後半レイがカイロ=レンに連れさられると躊躇なく救出に向かおうとする。BB-8チューバッカとの漫才も小気味よく、物語全体の(○ャー○ャーほどしつこくもない)コメディリリーフとして大活躍する。

僕はフィンのキャラクターがすごく好きなのだけど、彼の生い立ちを考えると「どんな育て方されたの?(よい意味で)」と思わずにいられない。ファーストオーダーの幼少期のストームトルーパー訓練は、情操教育も重視しているのだろうか。とにかくとても人間的で、社交的で、一般社会(?)にしっかりと馴染んでいて、元ストームトルーパーという設定がほとんど説得力を持たないようなキャラクターになってしまっている。

・カイロ=レンとスノークとハックスとキャプテンファズマ

スノークはファーストオーダーの最高指導者で、パルパティーンの後を継ぐフォースの暗黒面の新たな中心。カイロ=レンはスノークに暗黒面を伝授された若い騎士団長で、ダースモール(EP1)・ダースティラナス(EP2-3)・ダースベイダー(EP3-6)の後継者というところ。ハックスはファーストオーダーの最高司令官で、EP4のターキン総督的ポジション。

前任の敵キャラと比べてみると、どうも小物感が否めないのが今作の敵キャラ3人組だ。カイロ=レンとハックスは意図的に「小物」として描いている感はあるが、スノークにも微妙な小物感がついて回る。無駄にデカいホログラムで通信し、やたらと尊大で、大きな傷が顔にあるパワハラ上司。つまりは20世紀型の典型的な悪役をそのまま持ち込んだような、そんな感じ。

で、そんなスノークに、小物キャラであるカイロ=レンとハックスがかしずいているを見ると、何となく特撮モノの敵のアジトシーンを見ているような気がする。ファーストオーダーの中枢部それで大丈夫なのか??

キャラクター的になかなか光っていたのがキャプテンファズマ。女性のストームトルーパー司令官というかつてないキャラで、鏡面仕立ての特製アーマーも(文字通り)光っていた。が、かつての部下に脅されてあっさり防衛の要であるシールドを解除した挙句、ダストシュートに放り込まれるという、ストーリー的には一番小物な役回りになってしまった。

・舞台設定全般

EP7-9の世界は、銀河帝国VS反乱同盟軍銀河内戦が終わって30年後。新共和国が成立して後も、それに従おうとしない一部の残党がファーストオーダーを結成して新共和国に対立している。そして、そのファーストオーダーに対して抵抗運動を続けるのが、レイア=オーガナ将軍率いるレジスタンスだ。

レイやスノークの正体よりも僕が疑問に思うのは、この30年の間新共和国は何をやっていたのかということだ。帝国の残党によるファーストオーダーは、最初は弱小勢力でしかなかったはずだが、30年で新共和国を上回る勢力に成長している。(件の3人組にしては素晴らしい成果だ)

一方新共和国は30年でどうやらファーストオーダーに対抗する軍事力をつくる気はまったくなかったようで、レイア=オーガナのレジスタンス以外正規軍がある様子はない。で、結局スターキラーベースによって首都が消滅し、レジスタンスもあわや全滅の窮地に立たされる。これはもう自業自得と言ってもいいだろう。

結局のところ、あちこちで言われているとおり、もう一度EP4からやり直しているような舞台設定なのだ。「帝国軍VS反乱同盟軍」のころと全く変わらない構図にまた戻ってしまい、EP6での大勝利は一体何だったのかとなる。

なにはともあれ、スター・ウォーズEP7が素晴らしい作品であることは変わりない。新しい三部作も最大限に楽しんでいこう。

#SF映画 #スターウォーズ #STARWARS #JJエイブラムス

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