Inside Moovment: トラック制作の裏側、全部公開(その3)
Moovmentのトラック制作の裏側を公開します。写真はあんまり関係ないです。前回までの記事はこちらとこちら。今回は各種シンセサイザー周りを中心に中身を公開。前回から取り上げているのはこの曲です。
まずは序盤からほぼ最後まで登場するシンプルなリフ。左右に分けた2本のトラックを交互に鳴らしています。使っているのはNative InstrumentsのFM8。
ArturiaのCS-80Vでつくったパッドで僕の作る曲の7割ぐらいに入っています。フィルターディレイ2段がけ。ノコギリ波を重ねた単純なものですが、独特の柔らかい響きが出ます。普段はフィルターを絞っておいて、要所要所でフィルターを開けたときの「ファアアアアア」って音が気持ちいい。
こちらは女性ボーカルを加工したパッド。Max for LiveのGranulatorというデバイスにボーカルサンプルを入れてつくってあります。Granulatorは早い話が、オーディオを細かく切っていわゆるテクスチャー音をつくるデバイス。これもほぼずっと鳴っていますがあんまり聞こえない。
FM8のシンプルなパッドで、アルペジエイターでランダムに鳴らしています。ドローンサウンドみたいな感じ。
こちらは上とほぼ同じセッティングですが、変調をかけまくってほぼノイズにしています。例によってあんまり聞こえませんが、こういうあんまり聞こえない音が、全体の雰囲気づくりには必要だったりします。多分。
最後はデモ曲では聞こえないのですが、曲終盤のプラックヒット。クラブ系プロデューサーが大好きなSylenth。独特の存在感があります。イコライザーで音域を削って、ピアノとぶつからないようにしてあります。この曲はあくまでピアノがメイン。
というわけで、ひとつのトラックにもたくさんの工夫と手間と(他の人から見ればしばしば意味不明の)こだわりが詰まっている、というお話でした。

画像はイメージです。WIXのフリー素材。僕じゃないです。こういうデカいコンソールはクリエイターよりエンジニアが使うことが多いかな。微妙な笑顔がよいと思います。