Ableton Liveでのサイドチェインまとめ
1:内蔵モジュールへのオーディオ信号のサイドチェイン
Compressor, Glue Compressor, Gate, Multiband Dynamics, Auto Filterの5つは、外部のオーディオ信号をサイドチェイン入力できる。
▼ボタンをクリックするとSidechainパネルが現れる。

「Sidechain」ボタンをクリックするとサイドチェイン入力が有効になる
その右のヘッドフォンマークをクリックすると入力信号だけ鳴らすことができる
「Audio From」で任意のトラック・バスや外部インプットを選択。
「Pre FX」…エフェクトがかかる前の音を入力
「Post FX」…すべてのエフェクトがかかった後の音を入力
「Post Mixer」…エフェクト+ミキサーのボリュームやパン、ミュートを反映
「Gain」で入力音の音量調整。
「Mix」(Live9以前は「Wet/Dry」)で外部入力音とそのトラックの音のコンプレッサーに与える影響を調整できる。100%で外部入力音だけに反応する。50%で外部入力音とそのトラックの音に半々で反応する。
「EQ」ボタンをクリックするとサイドチェイン入力にイコライザーやフィルターをかけられる
ローシェルビング・ピーキング・ハイシェルビングイコライザーと、
ローパス・バンドパス・ハイパスフィルターから選択する
「Freq」で動作周波数を調整する
イコライザーのときは下のノブが「Gain」(カット・ブースト量調整)に、
フィルターのときは下のノブが「Q」(フィルターカーブ、レゾナンス)になる。
Compressor
Glue Compressor
外部入力音に反応してコンプレッションをかける。
ベースに挿したコンプレッサーにキックをサイドチェインするのが定番。
リズム感を強調したり、ミックスの場所を空けたりできる。
Audio Fromでそのトラック自身を選び、フィルターをオンにすることで、特定の周波数帯だけコンプレッションがかかるようにすることもできる。
Gate
外部入力音に反応してゲートを開けたり閉じたりする
Compressor/Glue Compressorと全く同じサイドチェインパネルを持つ。
特定の音が鳴っているときだけゲートを開く、といった処理ができる。
(Flipボタンを併用するとその逆もできる)
Multiband Dynamics
外部入力音に反応して各周波数帯のコンプレッサー・ゲートが反応する。
EQ部を省略したサイドチェインパネルを持つ。
Auto Filter
外部入力音に反応してカットオフ周波数が変化する。
低域がぶつかっている時などに便利。
Envelopeが0より大きいとき…音量大→周波数が上がる
Envelopeが0より小さいとき…音量大→周波数が下がる
2:CorpusへのMIDI信号のサイドチェイン

Corpusは特定の周波数の共鳴音を生み出すが、MIDI信号をサイドチェイン入力してコントロールすることができる。▼ボタンを押すとサイドチェインパネルが現れる。
「MIDI From」で任意のトラックや外部インプットを選択。
「Pre FX」…エフェクトがかかる前の信号を入力
「Post FX」…すべてのエフェクトがかかった後の信号を入力
「Post Mixer」…エフェクト+ミュートを反映
「Frequency」をチェックするとノート信号の音程で共鳴音の周波数が決まるようになる。同時に複数のノート信号が入力されたときの挙動は次のどちらかを選ぶ。
「Last」…最後に発音されたノートを優先する
「Low」…一番低いノートを優先する
「PB Range」で半音単位でピッチベンド範囲を決める。
右側の「Transpose」と「Fine」音程を調整することもできる。
「Off Decay」をチェックするとノートオフで共鳴音がミュートされるようになる。減衰速度は右側の「Decay」パラメーターで調整する。100%でノートオフ時にミュート(完全ではない)。50%でノートオフ時の音量が半分になる。
※インフォビューの日本語解説はどうやら間違っているので注意
ついでにResonatorにもサイドチェイン付けてくれ!って思う。
3:VSTプラグインへのオーディオ信号のサイドチェイン

Ableton Liveでもサイドチェインに対応したVSTプラグインにオーディオ信号をサイドチェイン入力できる。
例えばサイドチェイン入力のあるWaves C1 Compを「1 Audio」トラックに置く。別のオーディオトラックのI/Oパネルの「Audio To」上段で「1 Audio」を選ぶと、下段に「Side/C1 Comp」の選択肢が現れる。
ただしこの場合、そのトラックはサイドチェイン信号専用となり、音が鳴らなくなってしまう。そのトラックの音も出したいときは、まずリターントラックを作って上記の要領でサイドチェイン先につなげる。あとはそのリターントラックにセンドすればいい。
「Max for Live」があればフリーデバイスの「Outist」を使って簡単にサイドチェインできる。
4:VSTプラグインへのMIDI信号のサイドチェイン

「サイドチェイン」と呼ぶことはあまりないと思うが、VSTシンセやMIDI入力付きのVSTエフェクトにMIDI信号を送ることもできる。やり方はオーディオ信号をサイドチェイン入力するときとほとんど同じだ。
例えばiZotope Stutter Editを「1 Audio」トラックに置く。新しいMIDIトラックのI/Oパネルの「MIDI To」上段で「1 Audio」を選び、下段に「iZotope Stutter Edit」と表示されたらOK。MIDI入力のあるプラグインが複数あるときはここで送り先を選ぶ。Native Instruments Kontaktなどマルチチャンネルに対応したプラグインはここでチャンネルも選ぶ。